- 「のび太の宇宙開拓史はどんな映画?」
- 「のび太の宇宙開拓史の評価を知りたい」
こちらの記事は、そのような方に対して書いています。
ごきげんいかがですか?
映画好き歴42年の朝比奈宗平です。
よろしくお願いします!
さあ、今回は大長編ドラえもんの中でも特に考えさせられる「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」を見たので感想かたがた紹介します。
のび太の宇宙開拓史はどんな映画?
1981年版のび太の宇宙開拓史は、一見コーヤコーヤ星を舞台にした西部劇と思われがちですが、1980年版のび太の恐竜に引き続きメッセージ性の強いテーマのしっかりした作品です。
また映画が作られた時代に起きていた社会問題について考えさせられる作品でもあります。
それでは、のび太の宇宙開拓史について下記の順番で紹介しましょう。
- のび太の宇宙開拓史のあらすじ
- のび太の宇宙開拓史のテーマ
- のび太の宇宙開拓史のモチーフ
- 友達の窮地に孤軍奮闘するのび太の話
のび太の宇宙開拓史のあらすじ
1981年版のび太の宇宙開拓史は、彼の部屋の畳下とロップル少年が持っている宇宙船の倉庫の扉と偶然繋がることによって始まります。
突然の出来事に戸惑うドラえもんとのび太。
しかし、その畳を通じてドラえもんとのび太は、コーヤコーヤ星のロップル少年やチャミーと仲良くなります。
ところが、コーヤコーヤ星の鉱石ガルタイトの独占を企むガルタイト鉱業は、コーヤコーヤ星の開拓住民たちを追い出そうとしていました。
そのため、コーヤコーヤ星の住民はガルタイト鉱業から執拗な脅迫や嫌がらせに耐えながらの生活を強いられます。
のび太たちも嫌がらせを受け、ジャイアンとスネ夫、しずかちゃんとけんか別れしてしまうことに!
果たしてドラえもんとのび太は、そのような状況下にあるコーヤコーヤをガルタイト鉱業から救えるのでしょうか?
そして二人の力だけでガルタイト鉱業に勝てるのでしょうか?
のび太の宇宙開拓史のテーマ
のび太の宇宙開拓史のテーマは前作の1980年版のび太の恐竜と同じく「分離・再会」、「人間関係」、「人間性の危機」です。
分離/再会 | ロップル少年との別れと出会い |
人間関係 | ロップル少年との友情 |
人間性の危機 | コーヤコーヤ星の立ち退き問題 |
のび太の宇宙開拓史では、これらテーマがバランスよく盛り込まれており、大変見ごたえがあります。
1980年版のび太の恐竜の感想でも述べましたが、藤子・F・不二雄先生の脚本力は素晴らしいですね。
そのため、本作は大長編ドラえもんでも屈指の名作の一つと言えるでしょう。
のび太の宇宙開拓史のモチーフになっているもの
のび太の宇宙開拓史は、映画「シェーン」や「ブリガドーン」、そして1970から1980年代の日本で実際にあった都市開発における地上げ問題を題材にしています。
都市開発における地上げ問題について、藤子・F・不二雄先生ご本人の言及はありません。
しかし空き地のシーン、中学生に空き地を乗っ取られるシーンなど映画の随所にその意図が見られます。
- 空き地に置かれている土嚢
- 空き地を乗っ取る中学生
- 空き地の向こうに見える高速道路
- コーヤコーヤ星の独占を企むガルタイト鉱業
- 嫌がらせを受けるコーヤコーヤ星の住人
ただ空き地に置かれている土嚢と空き地の向こうに見える高速道路は、藤本先生の指示ではなくて西牧秀夫監督の演出かもしれません。
藤本先生の意向とそぐわなかったのかもしれませんが、西牧秀夫監督の演出は作品のテーマを強調するしかけとして良いものではないでしょうか?
そのおかげで、ただの子ども向けのアニメ映画ではなく、大人でも十分視聴に耐えられる社会派の映画になったのですから。
友達の窮地に孤軍奮闘するのび太の話
モチーフやテーマが重厚な1981年版のび太の宇宙開拓史ですが、どんな映画なのか端的に言うと、友達の窮地に孤軍奮闘するのび太の話です。
この件に関して、映画の第一幕から丁寧に描かれています。
- 中学生と空き地の交渉する
- 故障をタイムふろしきで直すことを提案する
- コーヤコーヤ星を空き地の代替地として提案する
- ガルタイト鉱業を追い返す
- ロップル少年を助けに行く
このように何度ものび太は地球とコーヤコーヤ星の友達の窮地に孤軍奮闘します。
これを重厚なモチーフとテーマで味付けしてあるからこそ、ドラえもん映画で屈指の名作になったと言えるでしょう。
いずれにしても藤本先生の脚本力には恐れ入ります。
1981年版のび太の宇宙開拓史の感想と評価
私の1981年版のび太の宇宙開拓史の感想と評価は下記のとおりです。
- 感想は大人が見ても十分面白い
- 評価は☆4つ
感想は大人が見ても十分面白い
1981年版のび太の宇宙開拓史は、いい年をした大人の私が見ても面白い作品ですね。
なにせ友情や今生の別れ、地上げ問題について考えさせられるのですから。
そんなことを考えさせられるなんて、これっぽちも思っていませんでした。
ところで先述のとおり、この作品には高度経済成長期の闇の一つである地上げ問題がさりげなく物語に盛り込まれています。
2020年になったも当時に比べて数は少なくなったものの、未だ地上げ問題はなくなっていません。
ロップル少年やコーヤコーヤ星の人々には、のび太たちがいました。
ところが、現実世界には彼らはいません。
つまり、あなたも私も窮地に立たされたとき、ロップル少年のように自分で解決する道を選ぶしかないのです。
それこそが藤子・F・不二雄先生の言いたかったことではないでしょうか?
そして「もしも友達が窮地に立たされたなら、のび太のように友達を助けてくださいね」という藤子・F・不二雄先生のメッセージだと思いませんか?
評価は☆4つです!
そんな1981年版のび太の宇宙開拓史の評価は☆4つです。
やや演出に改善の余地はありますが、やはり藤子・F・不二雄先生の脚本力には恐れ入りました。
しかもクライマックスを原作どおりにせず変更するなんて、素晴らしいアイデアだと思いました(もしかすると、これも西牧秀夫監督の演出かもしれませんが)。
そうすることで、より一層「友達の窮地に孤軍奮闘するのび太の話」として一貫性がありますし、のび太とロップル少年の友情の深さが見ている側にも伝わります。
そのような訳で、のび太の宇宙開拓史を☆4つと評価しました。
総合点 | ☆☆☆☆★ |
映像美 | ☆☆☆★★ |
演出力 | ☆☆☆☆★ |
効果音 | ☆☆☆☆★ |
脚本力 | ☆☆☆☆☆ |
まとめ
1981年版のび太の宇宙開拓史は「分離/再会」と「人間関係」、「人間性の危機」の3つのテーマがバランスよく描かれており、大変見ごたえのある映画です。
また、作品が作られた高度経済成長期の日本で実際にあった、地上げ問題を取り上げている社会派映画でもあります(少なくとも私はそう考えています)。
そのためメッセージ性も強く、大人が見ても十分楽しめる映画です。
以上で「『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』の感想」を終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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