総合点 |
映像美 |
演出点 |
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映画「ドラえもん のび太の恐竜」1980年版は、40年前の映画なので絵のクオリティは良くありませんが、藤子・F・不二雄先生の脚本力を思い知らされる映画でした。
またメッセージ性の強い作品なので、ぜひお子さんと一緒に親御さんもご覧になっていただきたいアニメ映画だと思いました(総合評価☆3つ)。
1980年版のび太の恐竜の感想
まず1980年のび太の恐竜の感想と評価について。
- 感想は絵に見劣りを感じるものの脚本がいいので楽しめる!
- 総合評価は☆3つです!
感想は絵に見劣りを感じるものの脚本がいいので楽しめる!
子どもの頃に映画館で見て以来、1980年版のび太の恐竜を見ていませんでしたので、正直なところ「子どもの頃のような気持ちで楽しめるのだろうか?」という不安はありました。
なぜなら作品が古いからです。
1980年の作品なので、絵のクオリティが現代のものに比べるとかなり見劣りします。
そのため、絵のクオリティにガッカリして最後まで視聴できないかもしれないと不安だったのです。
ところが、そんな絵のクオリティの見劣りなんて吹き飛ばすくらい、この作品は素晴らしいものでした。
この作品には恐竜やラジコン、海水浴、冒険、キャンプなどハラハラドキドキする要素が、たくさん詰まっています。
総合評価は☆4つです!
続いて1980年版のび太の恐竜に対する朝比奈の総合評価は星5つ中4つです。
やはり、現代のアニメのクオリティに比べると、古い作品なのでかなり見劣りします。
しかし、藤子・F・不二雄先生が直接脚本を手掛けられただけあって、内容は濃く面白い作品でした。
脚本力とメッセージ性の強さで言えば、近年の映画ではなかなかお目にかかれないのではないでしょうか?
それくらい1980年版のび太の恐竜の脚本は素晴らしいものです。
下記は1980年版のび太の恐竜に対する朝比奈の評価ですので、本作品をご覧になる際の参考にしてください。。
総合点 | ☆☆☆★★ |
映像美 | ☆☆☆★★ |
演出点 | ☆☆★★★ |
面白さ | ☆☆☆☆☆ |
効果音 | ☆☆☆☆☆ |
脚本力 | ☆☆☆☆☆ |
のび太の恐竜1980年版は、どんな映画?
次にのび太の恐竜が、どのような映画なのか紹介しましょう。
- もともとは短編漫画だった、のび太の恐竜
- 藤子・F・不二雄先生の脚本力がすごい!
もともとは短編漫画だった、のび太の恐竜
のび太の恐竜は、もともと短編漫画として発表された話でした。
ところが、映画化の話をもちかけた楠部三吉郎氏が短編「のび太の恐竜」の続きを描くことを提案したことがきっかけで生まれたのが、この大長編一作めである「のび太の恐竜」なのです。
その後、1979年に小学館とシンエイ動画の楠部三吉郎が藤子にドラえもんの長編映画化を持ちかけた。「僕は短編作家」と断る藤子・F・不二雄に、楠部が短編「のび太の恐竜」の続きを描くことを提案して了承され、映画化がスタートした[3]。この短編に大幅な加筆修正を行うかたちで1979年12月発売の『コロコロコミック』1月号から3月号までの連載となる長編作品が執筆され、これが「大長編ドラえもん」の第1作となった。なお、楠部によると当初東映まんがまつりの1作として『ドラえもん』のテレビシリーズを上映する話が持ち込まれたが、藤子がこれを断ったことで小学館から長編映画製作の提案が持ち上がったという[3]。
ウイキペディア「どらえもん のび太の恐竜」
藤子・F・不二雄先生の脚本力がすごい!
そのような理由で生まれた「のび太の恐竜」を大長編に作り変えた、藤子不二雄先生の脚本家としての力量は目を見張るものがあります。
短編はピー助を白亜紀の海に返して終わるのですが、それに藤子不二雄先生は「ピー助を返した海は日本の海ではなくアメリカの海だった。だから日本に連れていかなければならない」という話を付け加えたのです。
しかし藤子・F・不二雄先生がしたことは、それだけではありません。
野生のエルザや駅馬車、恐竜100万年をモチーフにし、ドラえもん一行の邪魔をするドルマンスタン、そして恐竜にいつ襲われるかもしれないという危機感を付け加えて、藤子不二雄先生は一本の大作に仕上げています。
そして藤子不二雄先生は、映画作品としてのテーマとメッセージを盛り込まれました。
それもたくさんのメッセージをそれとなく!
そして普通は1作品1テーマで作るのを本作は3テーマもあります!
これは簡単なように思われるかもしれませんが、実はとても難しいことなのです。
私もショートショートもどきを書いたことがあります。
しかし、さりげなくメッセージを伝えるなんて未だにできませんし、ましてや1作品に3テーマなんて常人のできることではありません。
いくら漫画家とは言え初めての映画の原作と脚本で、これだけのことをする藤子・F・不二雄先生は天才、もしくは余程の努力家だったのでしょうね。
いずれにしても藤子・F・不二雄先生の脚本力は大変素晴らしいものです。
それは、映画公開時に来日していたスティーブン・スピルバーグ監督が「のび太の恐竜」を見て、かなりの影響を受けたと公言していることで証明されています。
のび太の恐竜1980年版を現代のお子さんと親御さんにぜひご覧いただきたい!
そんな1980年版「ドラえもん のび太の恐竜」を、現代のお子さんとその親御さんにぜひ見ていただきたいのです。 なぜなら藤子・F・不二雄先生が脚本を務めたこの作品には、先生のメッセージがたくさん詰まっているからです。
- いじめはダメだよ
- 親の愛情(子育ての大変さ)
- 困難に立ち向かう勇気
- 友達を信じようね(大事にしよう)
- 巣立ち
いじめはダメだよ
これは本作全編で伝えられています。
- 冒頭でのび太だけ化石を見せてもらえない
- ジャイアンとスネ夫に鼻でスパゲティを食べるように言われるのび太
- エラスモサウルスにいじめらるピー助
- 恐竜を捕まえる黒マスクたち
- 黒マスクたちに追われるドラえもん一行
- 黒マスクたちに捕まるジャイアンとスネ夫、しずかちゃん
そして、上記のいじめをした人間は必ず戒められています。
- ジャイアンとスネ夫、しずかちゃんはのび太に謝る
- ドラえもんとのび太、ティラノサウルスに反撃される黒マスクたち
- 黒マスクたちはタイムパトロールに捕まる
親の愛情(子育ての大変さ)
これについては、全編とおしてあからさまに伝えられています。
- のび太を見守るドラえもん
- ピー助を育てるのび太
- ピー助を守るのび太
- アパトサウルスの子どもを守ろうとするしずかちゃん
困難に立ち向かう勇気
劇中で、のび太たちは何度も困難な問題にぶつかりますが、その度にのび太たちは困難に立ち向かいます。
そんなのび太たちの姿をぜひお子さんと一緒に見ていただきたいのです。
たぶんお子さんは彼らの姿に何らかの感情を抱くと思います。
そして、それを親御さんは共有してください。
きっとお子さんの成長の糧になるはずですし、親子関係の構築の手助けにもなるはずです。
友達を信じようね(大事にしよう)
劇中でのび太はジャイアンやスネ夫、しずかちゃんに笑い者にされます。
一時的にのび太はみんなを見返そうとしたり、逆上してピー助をみせようとしたりしますが、3人を責めてはいません。
この両者の違いがあるからこそ、のび太の人の良さと優しさが引き立ちます。
そんなのび太の姿をぜひお子さんに見せてあげてください。
巣立ち
本作では巣立ちのシーンが二度あります。
しかし、そのどちらもピー助だけが巣立ちをするのではありません。
その際、のび太も巣立っています。
その証拠が最後の「うん、ちょっとね」というセリフに隠されているのです。
ぜひ大人になっていくのび太とピー助の様子をお子さんに見せてあげてください。
まとめ
1980年版のび太の恐竜は分離と再会、人間性の危機、人間関係といった普遍的なテーマを扱っている作品です。
そのため、作品の随所にたくさんのメッセージが詰め込まれています。
お子さんのいらっしゃるご家庭は、お子さんに本作を見せてあげてください。
きっとお子さんの心の成長に良い影響を与えてくれるはずです。
以上で「映画「ドラえもん のび太の恐竜」の感想【動画をご覧になる参考にしてください】」を終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あとがき
本ブログ初投稿なのですが、いかがでしたでしょうか?
初投稿ということで、ドラえもん大長編の第一作めである「ドラえもん のび太の恐竜」の感想をかねた紹介記事にしました。
実を言うと、初投稿を映画好きになるきっかけになった「スターウォーズ新たなる希望」にしようか少し迷っています。
しかし、のび太の恐竜は藤子・F・不二雄先生の初じめての長編作品なので、こちらの方が初投稿にふさわしいと思いました(新たなる希望はエピソードで言えば4つですし)。
ところで今回投稿するにあたり、のび太の恐竜を3回視聴し原作漫画を2度読んだのですが、この作品は本当に奥深いですね。
いやあ、藤子・F・不二雄先生の脚本力には本当に驚かされました。
優れた構成の物語にメッセージを詰め込めるだけ詰め込んでいるのに物語が破綻していないなんて、普通の脚本家にはできないことです。
そして、見れば見るほど考えさせられてしまう本作のテーマ。
最初は野生のエルザをモチーフにされているので、巣立ちがテーマだと思っていました。
ところが、それは表面的なもので本当のテーマは別にあるのではないかと考えています。
しかも本当のテーマは2つあるのではないかと。
それは動物愛護の話と崖っぷちに立たされた少年の話です。
前者は恐竜ハンターからピー助を守るので間違いないでしょう。
後者は根拠となるシーンがいくつもあるものの、我ながらあまりにも突拍子のない考えなので自信はありません。
ただ、もしも私の推測が当たっていれば、それこそ藤子・F・不二雄先生は類いまれな脚本力の持ち主だと言えます。
なぜなら1つの作品にテーマを3つも盛り込まれているからです。
通常1つの作品に1つのテーマで、そのテーマをきちんと描くのも大変なことなのですが……。
恐るべし脚本力、そして藤子・F・不二雄先生。
そんな藤子・F・不二雄先生の脚本で、新作を見ることができないのが残念で仕方ありません。
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